ギリシャの作家ルキアノスは象牙の門と角の門のほかに、さらにもう二つ土の門と鉄の門があり、ここから恐ろしい夢や忌まわしい夢がでてくると、その作品の中で語っています。彼は子供のころ彫刻師の家に弟子入りさせられましたが、どうも彫刻の才能は無かったらしく失敗ばかりだつたようです。そういうわけでついに殴られて家に帰ったその晩にこんな夢を見ました。夢の中に二人の女性が現れました、一人は外見は美しくありませんが職人風の格好をしていました。もうひとりは美しく教養溢れる女性でした。二人の女性はそれぞれルキアノスの手を引っ張り自分の方へ来るようにと誘ったのです、ルキアノスは教養溢れる女性を選び彫刻師という職人になるよりも、教養を身につけて学業を収める道を選び、作家になったと自伝の中で語っています。
そのルキアノスが「夢の島」のことを作品の中で語っています。それによれば夢の島は近寄ろうとすれば遠ざかるという具合でなかなか上陸するのに骨の折れるところです。それでも何とかたどり着いて上陸すると、そこは芥子(けし)とマンドラゴラが繁り、コウモリが飛び交っていました。その中に虹色の城壁があり四つの門が有りました。近づいてみると、それは象牙の門、角の門、鉄の門、そして土の門でした。そして城壁の中には夜の神ニユクスの神殿と眠りの神ヒュブノスの神殿がそびえていました。町の中に入ってみると、色々な格好をした人々が行き来していましたが、それが「夢たち」でした。ある夢は翼を生やして不吉な様相をしており、またある夢は王様のように豪華に着飾っていました、これらのさまざまな夢たちは彼に気がつくと親しげに挨拶をして、家に招いてもてなしてくれたうえ、夢を見させてくれたということです。
秋月さやか著「細密夢占い事典」より
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