金 と 夢

馬券の夢

株の夢

宝物発見の夢

保険の夢

金貸亡霊の夢

遺産相続の夢

 

夢て当たり馬券を取った話

 

夢に見た意味ありげな数字

 予知夢は、危機的状況で現れることが多く、儲け話にからむケースはあまりありません。よい予知夢が見られる場合でも、それは非常に困難な境遇から抜け出るとか、快方に向かう、心配事が解決するなどのメッセージの場合が多く、たんなる儲け話というのは、ほとんど見られないのが普通なのです。

 けれども、中には、純然たる儲け話の予知夢を見ることもあります。もう20年以上も前になりますが、私の母は意味ありげな数字が出てくる夢を見、それが強く印象に残ったまま目が覚めました。当時母は競馬好きの知人の影響で競馬の楽しみを覚え、前夜も競馬新聞を見ながら潅てこの夢を見たので、夢は連勝複式の驚券の数字だろうと、すぐにピンときました。

そこでその日のメインレースに苗雪で見た数字の馬券を買ったところ、見事に的中し、数十倍の配当を得たのです。こうした夢はその後も現れました。知人らも母が何度か♯要し的中させたのを見夢て、彼女の夢の数字に乗ろうとしたのですが、それはうまくいきませんでした。母によれば、「欲がからむようになるとうまくいかない。たとえば今度は大きく賭けようとすると、夢を見なかったり、数字が出ても連勝のうちの一つだけで、もう一つがどうしてもわからない。あるいは、せっかく夢を見てもなぜかトラブルが生じて馬券が買えない。夢を見させてくれる神様は、どうやらこうした夢の利用の仕方を嫌うようだ」 

これが母の結論でした。

 同じような例を、コリン・ウイルソンが紹介しています。

ジョン・ゴドレーが的中させたケース

 194638日、イギリスのペイリオル・カレッジに在学していた貧乏学生のジョン・ゴドレーは、夢でビンドルとジエラデインという名の馬の夢を見ました。友人と競馬新開を調べてみると、その日、ビンドルはプランプトン競馬場、.ジエラデインはウエザビー競馬場に出足する予定になっています。

 そこで二人は、だめでもともとといった軽い気持ちでロンドンの馬券取引業者に電話を入れ、まず最初に走るビンドルの馬券を買ってみました。これがみごと的中して15倍になったので、次にジエラデインを買うと、こちらも当たって100ボンド以上の利益を上げることができました。

勝ち馬の夢はそれから1週間後にも現れ、さらに7月末にも登場しました。ゴドレーは、そのいずれも勝ちました。

 それからしばらくは、この夢から遠ざかり、1958年までにあと数回、この種の夢を見ましたが、その年のグランドナショナル大障害レースで「ウォツト・マン」という馬の名前を夢に見、それに似た名前のミスターウォツトに賭けて勝ったのを最後に、勝ち馬の夢をプッツリ見なくなったのです。さて、こんな話を開いたら、皆さんは、ゴドレーの儲けはさぞ大きとお考えになることでしょう。ところがそうではないのです。先に大きく儲けようとするとうまくいかないという母の体験を引きましたが (実際、母は大金を賭けたことはなく、小銭で遊ぶ程度の楽しみ方しかしませんでした)、ゴドレーの場合もまったく同じだったようなのです

なぜ大勝ちしないかの理由

ゴドレーに関して、コリン・ウイルソンはこう書いています。

1977年にBBCイギリスのテレビ局)でこの話をしたとき、……見過ごしていたふたつの点に私は気づいた。第一は、ゴドレーが彼の夢からほとんど利益を受けなかったということである。普通に考えれば、最初の重ね賭けに成功した以上、次の夢の競馬には多額の金を準備しそうなものだが、彼はそうしなかったのだ。もう一点は、意識を激しく集中し、夢の中で演じた儀式を入念に繰り返す……馬を新開で見つけ、夢と同じ電話ボックスから馬券屋に連絡する……ことで、その馬の勝利を『導く』ために何とか努力しなければならないと、ゴドレーが感じていたという事実である。……その背貴には、こんな風に何の努力もしないで金を得るのはあまり『よい』ことではない、という無意識の感情があったと

も考えられる。                  

さらにこれは、ゴドレーが馬に少額の金しか賭けなかった理由をも説明するだろう。多くの心霊家は、その力で金儲けをしようとすると不幸を招くと信じており、それ故に、彼らは概して報酬を受け取らないのである」                 

夢で博打に勝っても、もちろん法的には何ら違法ではありません。けれども、倫理的に問題があるのではないかということは、母も何度か語っていました。そし患いがブレーキになることは、コリン・ウイルソンが指摘しているとおり、 確かにあるでしょう。さらに付け加えれば、大きく賭けようとした時点で、つまり大儲けできるのではないかと意識した時点で、それまで働いていた無意識を押しのけて、欲にからまれた自我意識が前面に出てきます。

この自我意識は、別の言葉でいうと「自分が当てる」という意識です。これが出たら、無意識的な集中力は、たいがいの場合、殺()がれてしまいます。そうなると、競馬に限らず、勝負事はもういけないのです。夢のギャンブルは、まだ欲も何も出ていない最初の1回目が勝負どころ。そこで夢のささやきに乗るか乗らないかで運が決まります。

鍛治屋の妻が夢て宝物を発見した話

夢で受け取った電報で上が株を買う

夢の馬券ではなく株券で成功した人の例が、松谷みよ子さんの前掲書にあります。成功者は、曽根啓介氏という株式評論家です。昭和33年ころ、曽根氏はこんな夢を見ました。家人が皆寝静まった真夜中、戸を叩く者がいます。こんな夜中に何事だろうと出てみると、電報だといって1枚の紙切れを渡されました。

「ハヤカワサンガ七〇〇」

 電文にはそう記されています。ハヤカワとはだれのことだ、そんな名の友人も知人も思い当たらないが……と思いながら発信人を見ると、死んだはずの弟からの電報でした。死んだ弟がなぜこんな電報をよこしたのだろうと思ったところで目が覚めたのです。

 目が覚めてからも、曽根氏は奇妙に鮮明なその夢が非常に気になりました。ハヤカワー早川……、夢からくる第六感があって、曽根氏は新聞の株式欄を開き、早川という名の銘柄がないかどうかを調べました。すると「早川電機」という銘柄がただひとつだけあり、株価は180円でした。

 夢では「早川が700」というのだから、これが700円になるということなのだろうか−半信半疑ながらも、曽根氏は宝別の相場が始まったところから早川電機株を買いました。

  ところがこの株が、まもなく200円になりました。これは何かあると本気になって調べたところ、早川電機が14インチの家庭用テレビの製造に乗り出すらしいとわかったのです。

そこで曽根氏は、はじめて本格的な買いに乗り出し、200円から集中して早川電機株を買いました。すると、わずか3カ月あまりで、株価は夢に見たとおり700円近くまで上がったというのです

夢の騎士が宝のありかを告げる

これは夢のアドバイスを信じて行動した結果の僥倖ですが、もっとドラマチクな例を、庄司浅水氏が『世界の奇跡』の中で紹介してくれています。

1892年のある夏の夜のことです。英国シエロープシヤーの貧しい老鍛冶屋の妻のベティ・フオツクスは、鎧かぶとで身をかためた昔の騎士のいでたちをした数人の男たちが、人目をはばかりながら道のかたわらを大急ぎで掘り返し、何かを埋めるという夢を見ました。これ1回で夢が終わっていれば、彼女はおそらく大きな幸運を逃すことになったでしょうが、幸い、夢は翌日も続きました。

 次の夜には、彼女がその道を歩いているのです。すると、きのう夢に見た男たちが、急いで立ち去るところに出くわしました。彼女は道路標識などから、その場所が、クッキントンとロセスターの中間地点であることを知りました。そして、そのあたりのゴミの中に、一握りの貸幣がまき散らされているのを見たと思ったところで目が覚めたのです。               

 翌朝、ベティは夢の詰を家人に披露しました。けれども家人は、笑って取り合おうとはしませんでした。それから数日たって、ベティはムたたび夢を見ました。騎士のうちの2人がとある草むらで何かを埋め、残り2人が見張りをしています。埋め終わると彼らの姿は消えましたが、彼らが堀り返していた場所から、いくつかの貨幣が発見されたのです。

 3回目のこの夢は、1回目ど2回目の夢の反復で、何かを一生懸命ベティにアピールしているように思われます。ベティもそう感じました。たんなる雑夢とは、とうてい思われなかったのです。そこでベティは、だれにも話さず、クワを片手に出かけました。目指す場所は、もちろん夢で見たウツキントンとロセスターの中間地点のどこかです。

古代口−マ軍の駐留遺跡まで発見

  周囲に注意をはらいながらテクテク歩いているうちに、ベティは、どうやらここらしいというポイントを発見しました。たしかに夢で見たのと同じような草むらです。こうなれば、あとは掘るだけです。            

 ベティは持ってきたクワで、その場を掘り返しました。そのときの彼女の期待と興奮は、きっとそれまでの人生の中でも最大のものだったに違いありません。

 そうして………出たのです。まるで昔話のように、古代の金貨がザクザクと地面の下から現れ、その下からさらに、密閉された壷につまった見たこともない古い金貨や銀貨が、ゴツソリと現れたのです。 ベティは金貨や壷を家に持ち帰りました。もうだれも彼女をあざ笑う者はいません。これでフォツクス一家は、いちやく大金持ちになったのです。

 話には続きがあります。宝を発掘したのはいいが、まだ彼女には宝の所有権の問題が残っていました。フオツクス一家は慎重でした。発掘の話は厳重な秘密にして、まず金貸の1枚を、近くに住む資産家で貨幣収集家でもあったオートレーのところに持ち込みました。「自分の店の真のほうを掘っていたら出てきた」という触れ込みでした。

 金貨を見たオートレーは古代ローマ金貨だと鑑定し、相当の高額で買い取ってくれました。そこでフオツクス夫妻は、、オートレーに「絶対秘密を守る」と約束をさせた上で、発掘のいきさつを打ち明けました。

 オートレーは、法律的にその発掘物はフオツクス家のものになるということを教え、安心させた上で、それら発掘貨幣を考古学者のトーマス・ライト博士に譲渡するようアドバイスしました。

 夫妻はアドバイスを受け入れ、引き換えに大金を手にしました。また、ライト博士から話を聞いた仲間の考古学者らの手によって発掘場所の調査が行われた結果、そこが1500年の昔、古代ローマ軍が駈留していた古都ウリコニウスの跡だということも判明し、ひとつの夢が、夢見た婦人には富を、学者には発見の名誉と史学上の新知見を与える結果になったのでした。

夢のおかげて保険成り金になった話

駐車用ビルが崩れて店がつぶれる夢       

『史記』に「災いを転じて福となす」という故事がありますが、まさにそのとおりのことがアメリカのオハイオ州クリーブランドに住むジエリアス・デイットマンに起こりました。それも夢の教えを忠実に守ったおかげだったのです。

 ジエリアスは、クリーブランド.のヒューロン通りとオンタリれ通りの角に店をもっていました。その店の右隣には、クリーブランド・バーカマテック商会が建設中の大きな駐車用ビルがあったのですが、195646日、ジエリアスは、この駈車用ビルが突然崩れ落ち、彼の店の上におおいかぶさって壊してしまうという夢を見ました。                                                                     

目覚めたあと、ジエリアスはさっそく保険代理業者をたずね、総額12万ドルの損害保険契約を結びました。もちろん夢が現実になるとまでは考えていなかったでしょうが、万一の備えは必要だという思いが働いたのです。  

契約は同日の午後3時に成立しました。ところが明けて7日、驚くべきことが起こりました。早朝7時、建設中の駐車用ビルが急に傾き出したのです。                                      

業者はあわてて支柱で支えようとしました。けれども傾斜をくい止めることはできず、ビルの塔が倒れてジエリアスの店の屋根に落ち、めちめちゃに壊してしまいました。夢が現実となったのです。市当局はクリーブランド・バーカマテック商会に対し、ただちにビルの取り壊しを命じました。またジエリアスは、取り壊し期間中、店を休業するよう命じられたのです。

夢で保険金成り金に

これは普通なら大変な損害です。しかしジエリアスには、逆に大変な幸運となりました。前日の保険が成立していたため、わずか1日で多額の保険金を手にし、保険成り金になることができたからです。

ジエリアス・デイットマンは、あるいは夢を見る以前から、隣の建設中のビルに何らかの不安を抱いていたのかもしれません。無意識に危険を察知していたとも考えられます。けれども、保険の契約を結ぶきっかけをつくつたのは、まぎれもなく前日の夢です。夢を見るのが1日遅れても、あるいは夢を見てただちに保険代理店をたずねなくても、デイットマンは保険成り金になることはできなかったというところに、この話のポイントがあります。大切なのは、夢のメッセージがどうしても心にひっつかかり、何かをなすよう命じているように感じられたら、夢に従って行動してみるという姿勢なのです。   

予知夢をうまく活用できたケースを調べてみると、多くの場合、夢見後にとるべき行動は、あれこれ考えるより先にピンと頭に浮かんでいます。第一印象に従った行動が、表に最もよい結果を招くのに対して、最初のインスピレーションを疑ってあれこれ迷った末に出した結論は、多くの場合、よい結果を招きません。これはぜひ覚えておいていただきたい夢見のポイントのひとつです。

金を返せと夢て迫った金貸し亡霊の話

会銭に対する執着が死後も清えず・・・・・・?

愛憎や恐怖などの強い念は、無意識を介して他者に蹴郁現象を引き起こします。この現象が、肉親や夫婦親子、知人ら、何らかの強い結び付きのある者同士の間で起こりやすいことは、これまでも説明してきたとおりですが、別の人間関係からも感応は起こります。

 次に紹介するのは、金を貸したまま死んだ女性が、亡霊になって貸した相手に金の返済を迫ったという、きわめて珍しいケースで、報告者は大阪に住む篠原季子さんという霊夢を頻繁に見た敏感な女性です(篠原さんの別の夢があります)。                             篠原さんのご主人の映さんは、能州(石川県北部)の小さな町の金物商に嫁ぎました。30才ころにに結核で夫を失い、子ども2人を抱えて非常に困窮しましたが、持ち前の経済観念で家業をもり立て、店を発展させて相応の蓄えもつくりました。

ただ、映さんは、金銀に対する執着が「ちょつと常識を外れるほど」強かったといいます。この妹さんは42歳で病死しましたが、その時点で、未回収の貸金が数口ありました。

さて、怪異は、妹さんの死後、23日のうちに相次いで起こりました。 

彼女の亡霊が、お金を貸していた家の主人の夢に次々と現れ、「私は死んだが貸 金を至急持ってきてくれ」と迫ったというのです。 

死相そのままのすさまじい形相で借金返済を迫られた借り主たちは、その時点ではまだ妹さんの死を知りませんでした。ところがその後、彼女が死んだと連絡が入ったため、借り主たちは震え上がってただちに金を返しにきました。それら借り主らの口から、異口同音に借金返済を迫る亡霊の話が出たため、この事実が知れたのです。 

金の隠し場所を守る白髪の亡霊

「死期が迫ったとき、まだ誰と誰に貸しがあると思った妖の強い観念が、その人らの所へ届いて現象を起こしたものか。霊の働きか」

篠僚さんはこう書いていますが、金銭に対する執着から成仏できないといつた話は、仏教説話の中では昔から語られてきたことです。あの世に金は持っていけないという教えがある半面、死者のお棺に三途の川の渡し賃を入れる風習も広く残つており、道教では、「紙銭」というオモチヤのお金を燃やしてあの世に送る供養法が今でも行われています。このように、あの世と金の関係はなかなか一筋縄ではいかないようであるから、死者が金にまつわる霊夢を見せるという現象も起こつてきます。

葛木明氏が『心霊研究』誌で紹介しているイギリスの『スター』誌に掲載された「第六感的体験記」の中にも、金にまつわる次のような霊夢がありました。心 第一次大戦の直後、モルガンという夫人の知りあいの男性が、田舎に家を買って引っ越しました。ところが、その最初の晩に白髪の老人が現れ、台所の暖炉の台石をたたくという変な夢を見たのです。 

同じ夢は3晩続きました。しかし、この男性は、あまり夢に興味をもたない人だったのか、いつの間にか夢のことは忘れてしまいました。それから数カ月後のことです。彼はふと台所の改造を思い立ちました。そこで、以前からの暖炉を取り除くために台石を持ち上げたところ、何と金貨のいっばい詰まった草袋が2つも出てきたのです。

驚いた知人は近所の古くからの住人などに話を開いて回りました。その結果、自分が買った家の以前の持ち主はケチで知られた老人で、しかもその風貌というのが、彼が夢に見たあの白髪の老人そっくりだということが判明しました。残した草袋への執着が、次の住人の夢に現れたという珍しいお話です。

亡父が夢て遺産配分をやり直した話

ジエイムスチヤフインの事故死

 遺産の配分を告げずにあの世に旅立った人の中には、死んだあとも残してきた遺産の処理が気になってしかたのない人もいるようです。

 1921911日、アメリカ・ノースカロライナ西部で広大な農園を営んでいたジエイムス・チヤフインが亡くなりました。自分の農園の柵から誤って転落し、意識が回復しないまま亡くなったので、最後の言葉はありませんでした。

ジエイムスの死後2カ月半たって、彼の遺言書が検証されました。 

「自分の全財産は三男のマーシャル・チヤフインに譲る」……遺言書にはそう記されており、未亡人および長男のジョン、次男ジエイムス、末子アブナーへの相続分は、なぜか1セントもありませんでした。

遺言書は19059月、つまりジエイムス・チヤフインの死の約16年も前に作成された古いものでしたが、ほかに新しい遺言書がないので、結局それが正式の遺言と認められたのです。

今日なら、もちろんこんな遺言は通りません。必ず裁判沙汰になって骨肉の遺産争いに発展するところですが、チヤフイン家の親子兄弟は、近隣でも評判の仲むつまじい家族だったため、父がこんな不当な遺言を遺したのも何かの理由があるのだろうということで一同納得しました。 

そこで遺産のすべては、遺言書どおり三男のマーシャルに継承され、それから1年たらずのうちにマーシャルが死亡したため、最終的に、遺産は彼の一人息子に相続されたのでした。

「『創世記』27章を読むべし」

さて、それから3年後の19256月のことです。次男のジエイムスが不思議な夢を見ました。黒い外賓を着た男が夢に現れ、右手で外套の前を開き、左の人差し指で口が裏に縫い付けられている内ポケットを指さすのです。       夢

男の顔は判然とはしませんでしたが、外套のほうは、父が生前、日曜の外出のたびに着用していたものとまったく同じでした。奇妙な夢は、その数日後にもまた現れました。今度は、いかめしい日焼けした顔から、それが亡き父であることがはっきりわかりました。父は先の夢とまったく同じ動作を繰り返し、さらに口を開いて、「おまえたちは、わしの遺言をボケットの中に見いだすだろう」と告げたのです。

これだけ明かな夢を見せられたので、次男はもう夢のことだからとほおつておくことができなくなりました。そこで翌朝、亡父の外套を形見分けで手に入れていた長男ジョンの家に行き、夢の一部始終を語りました。

語を開いたジョンは、さっそく外套を引っ張り出し、内ポケットを調べました。

すると、夢で示されたとおり内ポケットが縫い付けられており、縫い目をほどくと、中から小さくたたんだ紙片が出てきました。

「父の『聖書』の『創世記』27牽を読むべし」!紙片には、確かにジエイムス・チャフインの筆跡で、こう書かれてありました。そこで二人は、とりあえず手元にあった『聖書』を開き、『創世記』の該当箇所を読んでみました。すると聖書のその章は、父イサクの遺産を息子のヤコブが兄をさしおいて不正に受け継いだ話で、内容は自分たちの遺産相続の経緯ととてもよく似ていました。

これは、1905年に書いた不法な遺言を取り消したいという父のメッセージではないか。もしそうなら、父の『聖書』のその部分には、ひょっとしたら遺産配分について、何か別のことがメモされているのかも知れない……二人はそう考えました。

けれども、自分たちだけで父の『聖書』を調べたら、必ず世間の疑惑を招きます。そこで彼らは、近くの村に住む亡や父の友人で、正直者で通っていたブラツク・ウエルダーという人物をたずね、不思議な物語のすべてを語った上で、『聖書』調べの立ち会い人になってくれるよう依頼したのです。

やりなおされた通産相続     

 192576日、ブラック・ウエルダIは数人の証人を伴って故人の『聖書』調べに出かけました。その『聖書』は未亡人の自宅にありました。

  ウエルダーら複数の証人が見守る中、遺族によって『創世記』27章の部分が開かれました。すると2枚のページが二重封筒のように半分に折られており、そこには故人の筆跡で、はっきりとこう記されていたのです。

「『創世記』27章をひもとくに及び、余ジエイムス・チヤフインは次のごとく最後の遺書を認める。余の死骸を埋葬せる後、余の遺産は4人の息子に平等に分配せらるべし。母のなお生存せる場合は、息子たちは母親の老後をみるべし。これ、余の最後の遺言なり。

ジエイムス・エル・チヤフイン 1919116

遺書の筆跡が間違いなくジエイムス・エル・チヤフインその人のものであると確認され、先の遺言より新しいものであることが認められたため、この新発見の遺言が正式の遺言として効力を発することになりました。

 かくして遺産の配分は遺言どおりにやり直され、以後、ジエイムス・チヤフィンが夢に現れることはなくなったといいます。  

この話は、疑おうと思えばいくらでも疑えますが。発見までのいきさつが不自然なほど入り組んでいますし、外套の内ポケットのメモや『聖書』に残された遺書の筆跡も、模倣しょうと思えばできますから、不公平な遺産配分を覆すために仕組んだ芝居とみる人がいても不思議ではありません。

私としても、そうした可能性を否定することはできませんが、ただ、遺産に開しては似たような事例がありますし、故人が夢に出てきて生前の秘密などをメッセ−ジとして伝えたという実例は実際にいくらでもあるためで、このケースも頭から嘘と決めつけることはできないのではないかと思っているのです。

不思議な夢

 

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