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あの日は、何の前触れもなく、電話が鳴った。
「あ…俺だけど、明日、…ん〜 焼き鳥やへ一杯やりに行かない?」
…とい内容のS氏からの電話であった。
「飲みに行く誘いの電話?めずらしぃ〜」と思いながらも、OKの返事をして
翌日。
仕事も終え、自宅の団地に戻ると、しばらくして むっつり助平のIが、車で迎えに来た。「どこの飲み屋?」とIに聞いても、「さぁ?」としか言わない。
車はじきに S氏のアパートに到着。一緒にY氏も行くというので、Iの車に4人仲良く乗り込んで、出発。てっきり近所の飲み屋かな?と思ったら車は国道1号線をグイグイ上り 「五反田」と書かれた青い看板が見えた。「へぇ〜東京に行き付けの飲み屋があるんだぁ?」と私がつぶやくと残りの3人は、なにやらニヤニヤしている。何か変な事を言ったかな?と思い、しばらくは黙ってることにした。S氏の指示の通りIは路上駐車を決め込み、4人は車から降りた。
S氏はパチンコ屋を見つけると「トイレに行っとこ!。出しておかないとな!」と店に入り一目散にトイレへ。残りの3人は吸い込まれるかのように続いてトイレへ。Y氏は「出しておかないと、すぐにイッチまうからな!」と意味不明なことを連発するありさま。Y氏はそんなに酒に強くないし…今夜は腰を据えて飲むつもりなのだろうか?
出すものを出した4人は、店を出て歩き始めた。
「焼き鳥、皮は塩に限るよね?」と私が振っても誰も答えない。何なんだ?
前方に 派手なはっぴを着たおじさんが、「社長〜!」を連発して呼び込みをしている風景が目に飛び込んだ。ドラマなどでよく見掛ける光景だ。こともあろうか私の前を歩いていた3人は、何のためらいも無くはっぴのおじさんの案内で店に吸い込まれていった。それは大宇宙でブラックホールに吸い込まれて行く宇宙船を想像していただきたい。
「ここが焼き鳥屋なんだ……・(絶句)」
Iが私の手を引いて焼き鳥屋に連れ込んだ。
「4名さん ごあんな〜い」
どこに焼き鳥の煙が漂っているのだ?
誰が板前なんだ?
どうしてこんなに暗いのだ?顔が見えないぞ。
なんだ?このちっちゃいテーブルは?
この 薄い水割りはなんだ?
どうしてオシボリ3本なんだ?
あ!アイツあんなこと してるぅ〜!ええ!?そんなことをしても良いの?ここは?だってここは焼き鳥屋でしょう?え〜うそぉ〜!!
そこへ店員さんが「いらっしゃ〜い」とやって来た。
「さぁ 頑張ってみようか?」
・・・って何を頑張る・・・?え?
おいおい!何をする!よせ!心の準備ができていない。よせ!よしてくれ。頼む!!
奮闘の約1時間。
私はそそくさと焼き鳥屋を出た。…って言うか、ここは焼き鳥屋なのか?おい!
未練たらたらの3人はピンク色の顔をして出てきた。
友人のIいわく
「お前、正直に言うと来ないと思ったからな!」だって。
…すいません。
その後、ちゃんと心の準備をして、再び行ってしまいました。あたいは。
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