杉浦茂マンガ集情報


風雲児と全く関係ないお知らせをいたします。

既にご存知の方も多いかも知れませんが、この三月より河出文庫(河出書房新社)から 杉浦茂氏の代表作とも言うべき「少年児雷也」「少年西遊記」等が続々刊行されました。

ここまで書くと、何だそんなの、P出版やT書房から、すでにどっちゃり出ているじゃないかと思われるかも知れませんが、ぜんぜん違います。中身はすべて昭和30年代当時のまま、「おもしろブック」や「少年」に連載されたものの 「初単行本化」 なのであります。

もうちょい詳しく説明しますね。例えばP出版の「少年西遊記」の解説にはこうあります。

「本書は昭和32年7月に集英社より刊行された「孫悟空大あばれの巻」(杉浦茂傑作漫画全集2)=前半部と、今回(昭和62年!)新たに執筆されたオリジナル原稿=後半部 より構成されています。いずれも、雑誌「おもしろブック」(集英社刊)に、 昭和31年1月号〜32年3月号まで連載された「少年西遊記」をもとに描かれました。」

これでおわかりと思いますが、P出版の単行本には「おもしろブック」の原版は1ページたりとも使ってないわけですね。これが、昭和31年当時、9歳のクソガキだったワタクシ、みなもとにはメチャクチャ不満だったわけです。
病床で、あるいは給食を食べながら、毎月胸をときめかして読んだ、あの「少年西遊記」の1コマ1コマが、P出版の単行本には一切出てこなかったのですから(P出版ワンダーランドの意義と壮挙は充分認めています)。

杉浦茂先生の葬儀の帰路、私と、若き熱烈なファンの島津クンの2人で飯を食いながら しみじみ語りあいました。
「何としても、あの頃のままの、雑誌や別冊フロク連載のままの西遊記や児雷也を世に出したいね」と。

それからまァ、イロンな紆余曲折、苦労話はハブキまして、話に乗ってくれたのは河出書房新社の伊藤記者です。伊藤氏は米沢嘉博氏の「藤子不二雄論」や私の「お楽しみはこれもなのじゃ」の文庫化、最近のお仕事では手塚先生の「ロック」「ヒゲオヤジ」「ランプ」の三部作を河出文庫で編まれた若き漫画ファンであり、特に「ランプ」編では私のワガママを聞いて「落盤」と「ベニスの商人」を初出形で出してくださったアリガタイ編集者でありました。

最も難行した原本(雑誌、フロク)探しも、ある所にはあるもので、このほど「手塚治虫の奇妙な資料」を実業之日本社から出版された(まもなく続編が発売されるそうです)野口文雄氏がそっくり提供してくださり、イッキョに解決いたしました。足を向けて寝られない人がまた一人ふえて、私はいまや立って寝るしかない状態であります。

などとエラソウな顔をして書いてきましたが、現在見本刷りを手にしてふり返ってみますと、島津クン、野口氏、伊藤氏、現場作業の小川氏のご苦労に較べ、私みなもとは何ら具体的苦労はしておりません。
ただ皆様と顔を合わすたびに「あんなんじゃないやい、こんなのヤダい」とダダを こねつづけただけなのであります。

にもかかわらず、河出文庫の奥付に「編集協力」として名前を刷りこんでいただき、赤面しつつも、せめてもの責任感と罪滅ぼしにこうして皆様方にお報せさせていただきます。

とにかく杉浦マンガには、風雲児達の原点があります。

「少年西遊記」だけでも、原本はP出版の約3倍、600ページからのボリュームがあります。子供の頃に見た通りの絵とセリフがまんま出てきて、あーなんたるよき日ぞや、なのであります。

杉浦茂ファンの方、ご興味おありの方々、今回の河出文庫版こそが決定版、本来の杉浦マンガの面白さです。ゲップが出るほどタンノーできます。ぜひ書店で手にとってご覧下さい。
戦後のギャグマンガ史の金字塔が、今度こそハッキリ姿を顕します。
資料的価値大。これを読まずして杉浦茂は語れないッ!!

ということで、風雲児も今後とも頑張りますので、よろしく。

byみなもと太郎


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