傷だらけの天使達
プロローグsideB

 

二人の言い争いを、私は耳を塞いで、聞かないようにしていました。

溢れる涙は止めようがなく。

でも、大声で泣くことも出来ない。

そんなことをすれば、あの人はきっと私をぶつから。

ぶたれると痛い。

痛いのは嫌い。

だから泣けない。

私は目を閉じて、全てを拒絶した。

肩を寄せ合う、私の片割れの温もりだけが、暗い闇の中で、唯一安心出来る物だった。

ふと、その温もりが離れた。

私は反射的に目を開いた。

そこは、割れたコップやお皿が散かっていた。

二人の姿はどこにも無く、私の片割れが、窓の向こうへ叫んでいた。

私は悟ってしまった。

きっと、無駄だと。

彼女のその姿は、酷く滑稽だった。

何故だか、彼女は過去にしがみつこうとしていた。

優しかった二人は、もういないのに。

それなのに彼女は、必死にしがみつこうとしていた。

やがて、彼女は泣き崩れた。

その背中を見て、私は、「やっぱり」と思った。

やっぱり私達は捨てられた。

彼女の言葉は、二人に届くことはなかったのだ。

そして、私達は捨てられた……。

 

 

「この日、私達は、孤児になった」

 

プロローグ sideAへ  オリジナルTopへ  第一話へ