大きな木と小さなお花


あるところに小さな森がありました。

その森にはたくさんの動物たちと、植物たちが仲良く暮らしていました。

しかしある時、人間という動物たちの手によって木々の伐採が始まりました。

まず森から動物たちが離れていきました。

仲良く遊んでいたキツネの親子、心地よい歌声を聞かせてくれた小鳥たちもいなくなってしまいました。

次にはお花たちが無くなっていきました。

赤、青、黄色等の様々な種類の花たちも踏みつけられ消えてゆきました。

次第にいなくなっていく仲間達を目にしている、この森で一番大きな木と、若く小さなお花のお話です。

「きれいに咲いているね。」

普段話をしない、大きな木は小さいお花に向かって話しかけました。

「うん!僕の家族も・・・お友達もはいなくなっちゃったけど・・・。」

「そうかい、寂しいかい。」

大きな木は辺りを見渡しました。確かにこの辺りにはもう小さなお花と似たお花はいなくなっていました。

「お話しようよ。」

小さなお花はにこやかに言いました。

「ああ、いいよ。」

 

2人は毎日話をしました。

バカな話、真剣な話、おかしい話・・・とりとめのない話をしている2人でしたが幸せな日々でした。

しかし運命とは皮肉なものでした。

 

ある日大きな木が小さなお花に話しかけました。

しかし返事がありません。

以前では有り得ないことだったので、大きな木はあわてて小さなお花の方を向きました。

「大丈夫かい?」

問いかけてみたものの返事がありません。。

よく見ると、小さなお花の葉っぱは黄色く枯れ、顔はうなだれるかのように下を向いてました。

「うん・・・大丈夫だよ。」

辛うじて上を向いた小さなお花は大きな木の方に向かって笑いました。

その笑顔は大層痛々しいものでした。

「君はどうしてそんなにも頑張るんだい、もう」

大きな木は不思議でした。

「君には家族も・・・友達もいなくなってしまった・・・。君は何のためにそうやって笑っているんだい?」

「それはね・・・。」

かすれた声を振り絞りながら小さなお花は言いました。

「君が大切なお友達だったから・・・。」

その一言を最後に、小さなお花はもう二度とお話をすることはありませんでした・・・。



大きな木の隣に一輪の花が咲いていました。

一輪の、精一杯友と生きた、かわいい、小さなお花が咲いていました。


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