◆◆アリス編 1  わたしは学生証をしまうと、家路を急いだ。  今日の食事当番はわたしだ。  ユキはそういうトコは、結構厳しい。  もしもかわってほしいなら、正当な理由を持ってまえもって電話するなりしないと、絶対承諾してくれない。自分の分だけ作ってきれいに食べてしまう。  しかもそのことについて一言も口にしない。怒りもなじりもしないのだ。  どうやら、それはそういうもんだと思ってる、みたいだけれど。  まあ、全体としておだやかな優しい子、なんだけどね。  先ほどもらった真っ赤なバラを、かばんに一輪さしたまま、わたしはいつもの通り道を歩く。  わたしのひそかなお気に入り、古色蒼然とした(お城みたいな)お屋敷の前に差しかかる――  ここはすごいのだ。  正方形っぽい敷地のはじからはじまで3ブロックくらい優にある。  そして門は、正方形の一辺の真ん中にある。  つまり“前”にさしかかっても、門は1ブロック向こうにみえる、というわけで。  今まさしく向こうにみえる、お屋敷の門の前に、ひとりの学生? が歩いてきた。  ベージュのスーツをまとった、色素が薄く、線が細い青年。手には黒い書類ケースを抱えている。  彼は立ち止まると、アルトに近いテノールでただいま、と呼びかける。  が、いきなりふらつき、その場に倒れこむ。 「ティルティス!!」  門の内側から、テノールの叫びが聞こえた。  》》大変。自分も駆け寄る→3    自分の家の前で倒れたんだ。じゃあ大丈夫、わたしは帰ろっと→4 2 「あの……大丈夫、なんでしょうか」 「?!」  と、彼は鋭く顔を上げわたしを見据えた。  な、なんか、身構えられてる…っぽい……  》》怖い。逃げる!→5  『お邪魔、ですね』→6  『な、何なんですか』→7 3 「だ、大丈夫ですか――?!」  わたしは夢中で駆け寄った。 「ティルティス!」  同時に門が開き、中から背の高いきれいなひとが姿を現す。  彼は長い銀髪が地面につくのも構わずに、“ティルティス”氏のそばにしゃがみこむ。  抱き起こす。 「……まったく、だから言ったでしょうに……」  いたましげに“ティルティス”氏を抱き締める。  》》声をかける→2  去る→8 4  門が開き、中から白っぽくて背の高いヒトが駆け出してきて、倒れた彼を抱き上げた。 「ティルティス、しっかり。いま薬湯を用意しますから」  そうして門の内側に消えていった。  あとには、“ティルティス”氏の手から落ちた、黒い書類ケースがぽつんと残っている、けれど……  》》拾って、門の内側に置いておいてあげよう→9    余計なことはしないに限る。ほっとく!→10 5 “女性とみまがうほどの”“天使のような”美貌。  でも、それでこうしてにらまれると、普通のヒトより数倍怖い。 「ご、ご、…ごめんなさいっ!」  えーん、あたしが何したってのよー。もうもう、もう信じられない!  わたしは思わず逃げ出した。  →11 6 「はい。」  彼はきっぱり即答した。 「……あ。  え、いいえ、ないです、そんなことはないです!」  そして血相変えてそれを否定した。  →21 7  なんで行き倒れ助けようとして、にらまれなくっちゃいけないのよ。 「別に今の、わたしが呪ったワケじゃないですよ?」  対し、彼はうつむいた。なんか肩が、震えてる……  》》やばい。謝り倒して、逃げろ!→15  逃げない→16 8  わたしはそのまま立ち去った。  ひとつにはもう大丈夫だろうというのがあり、ひとつにはすっかり自分の世界に入っている様子の銀髪(しかも“すっごい美”がつく)青年の邪魔をするのは、ちょびっとこわかった、からである。  →11 9  で、わたしは立ち去った。  しかしアパートに帰ると…なんてことだろう。  学生証がない。多分あそこで落としたのだ。  あーあー、ハンパによけーなコトするから……  まあ、ぼやいててもしかたない。  あしたは大学ないし、取りにいってみようっと。  まあむだだと思うけどね。  →10 10  わたしは部屋に帰った。  で、まっかなバラを“水きり”してコップにさした。  そこへ我が親愛なるルームメイト・ユキがやってきて歓声をあげる。 「あら、きれいなバラ!  どうしたのよアリス。ひょっとして、いいひとにもらったとか?」 「そ、そんなことないけど」  そういえば、改めて思い出すとあのマジシャン…アシェンデ、さん? て美男子だったなあ……  》》『まあ、かっこいいことは確か。』→17    『顔はよかったよ。すごいうさんくさかったけど』→18 11  だがなんてことだろう。アパートに帰り着くと、さっき“時魔導師アシェンデ”さんにもらったバラと、それに学生証がなかった。  きっとあそこで落としたのだ。  はあ、もう、信じられないよぅ………  →19 12 「申し訳ありません。では参りましょう」  彼はすきとおるような笑みをみせて、歩きだした。  わたしたちは応接間にやってきた。 “ティルティス”さんを抱えた(そうだ、まだ名前を聞いてなかったっけ)銀髪の人は、ソファのうえに“ティルティス”さんを下ろす。  慣れた様子で靴を脱がせ、両足をひじおきにのせる。ベージュのスーツのボタンと、ワイシャツのボタンを外していく。 「あの、ケース、ここでいいですか」 「はい、そこに……」  わたしはというと、机の上に書類ケースをおく。  そして、近くのいすにかけてあったショールを、銀髪の彼に手渡す。 「ああ、助かります」  彼はそれをふわっと“ティルティス”さんにかけ、わたしにむきなおった。 「これでとりあえずはいいでしょう。  ……本当にありがとうございました」  →20 13 「助かります」  彼はすきとおるような微笑みをみせ、歩き始めた。  50メートル位歩いて、ようやく玄関。  わたしはポーチにケースを下ろす。  一方、“ティルティス”さんを下ろした彼はわたしに一礼する。 「ありがとうございました」  →20 14 「あ、…そうですね。  こんな時間に、しかも知らない男の家に上がれなんて、失礼なことを申し上げてしまいました。お許しください、お嬢さん」  彼はすまなそうに一礼した。 「では、そこに置いてもらえますか」  =門の内側、門柱のところ。 「はい」  わたしはそうして、お大事にと告げて立ち去った。  ちょっと悪いこと、しちゃったかな……  →11 15 「うわぁ、ごめんなさーいっ!」  やっちゃった。わたしは必死で逃げ出した。  →11 16 「ふふふふっ………」  もれたのは、それはきれいな笑い声。  彼はなんと、とってもおかしそうに笑っていた。 「す、すいません、……くすくす……で、でも、お、おかしくて………」  みると、目には薄く涙までたまっている。 「すみません、おびやかしてしまいまして。  ちょっと驚いてしまって、…つい構えてしまったのです。  でも、こんなお嬢さんが“呪う”なんて……  その、すごく可愛い、と……」  そういう彼こそ、真っ白なほおがちょっとだけ染まって、ものすごく“可愛い(としか形容しようのない)”顔になっている。  身構えたさっきとは別人のように。  →21 17 「そーよねー。こんなかっこいーバラくれるヒトだもん、絶対かっこいいわよね!」  ユキはよくわかんない納得をしている。  →22 18  ユキの眉毛がハの字になる。 「う、うさんくさかったの……めちゃくちゃ美形で?  うわぁ、それってなんか萌え萌え!」 「もえ、……」  そう言う彼女のおめめには、お星様がきらきらしている。  →22 19  外はもう大分、暗い。どうしようかな……  》》とにかく行くだけ行ってみよう……→23  仕方ない、明日にしよう→24 20 「すっかり申し遅れましたが、この者は時魔導師ティルティス。わたくしはその友人にして介護者――エリスと申します。  もしよろしければ、今度遊びにいらして下さいませんか?  今日のお礼に、とっておきのローズティーをおいれしますので……  こちらが連絡先です」 “銀髪さん”改めエリスさんは懐から一枚の名刺を取り出し、わたしに渡す。 『魔導アカデミオン 時空魔術学部 時魔法博士/特別顧問  ティルティス・L・フィーリ』……  ふーん、この行き倒れさん、学者だったんだ。  わたしはなぜかひどく納得した。  そしてありがとうとお大事にを告げて、わたしは立ち去ろうとした。 「あ、あの!」  しかし、ふいに呼び止められた。 「大変失礼ですけど……  そのバラ、どこで手に入れられました?  いえ、大変珍しい種類のものとお見受けしますが……  よろしければ、お譲り願えないでしょうか。  ティルティスとわたしは、バラの栽培が共通の趣味なのです」  エリスさんが見ているのは、わたしがカバンにさしている真っ赤なバラ。  それはさっき“時魔導師アシェンデ”て名乗ったヒトから、もらったものだけど……  》》いいや。あげちゃう!→25  『人からいただいたものなので……』→26 21 「その………大変失礼を致しました。  お嬢さん。  もし、よろしければそのカバンを持って来ていただけますか。大切なものなんです――彼にとっては」  みると、路上には“ティルティス”さんの持っていた、黒い書類ケース。  》》『ええ、もちろん(いいというまで持ってってあげよう)』→12    『じゃあ玄関まで……』→13  『(う、それは怖い、なぁ……)』→14 22  さて、わたしは落とし物を……  》》していた→27  いない→28 23  行くだけ行ってみよう。  ひょっとして、まだ落ちてるかもしれないし……  わたしは、お屋敷に向かった。  と、門のところにはあの銀髪のヒトが!  胸に何か紙袋をかかえているけど…あの中身は多分わたしの落としたものたちだけど…わたしは思わず立ち止まる。 「エリス……」  と、門の内側から聞き覚えのある声。 「ティルティス」  銀髪の人、ふりかえる。 「駄目じゃないですか、まだ寝てなくちゃ」 「でも、……  もう明日にしよう。  風邪引くよ。エリスだってそんなに身体強いわけじゃないんだから。  エディアールさんだって、こんな暗い中では来ないよ」 「ですが……  もしきたら?  私の目付きの悪いの知っているでしょう、ティルティス。  彼女、それで怖がって逃げ出しちゃったんですよ。  それをおして、暗いのに取りに来て。それで、誰もいなかったらあんまり可哀想です」 「エリス……  じゃあこうしよう。  ティーセット、持ってくるんだよ。  あのおとっときのローズティー飲みながら、二人で待とう?」 「でも、…今の君にテーブルを運ばせる訳には…」 「だからその間は、僕がそれを持って待ってる。ね?」 「ティルティス………」  柔らかい門灯の光に、エリスさんの銀髪と満ち足りた微笑みがうつくしい。 “天使みたい”  その瞬間、わたしはエリスさんが怖くなく思えている自分に気が付いた。 「あの、すみません」  自然に言葉が、足が出ていた。 「ひょっとして、私のバラと学生証、お預かりいただいていたんですよね…?」  かくしてわたしには、とっても素敵なお友達がふたり、できてしまった。  長い綺麗な銀髪とエメラルドの瞳の医師、エリス・クレージュさん。  薄い亜麻色の髪と目をした魔法学者、ティルティス・L・フィーリさん。  今度ユキも連れて、お茶会かたがた自慢のバラ園をみせてもらえることに。  バラといえばわたしの真っ赤なバラ、あれは結構珍しい品種のものらしく……  》》今日の記念に、二人にお譲りすることになった→29    やっぱりひとからもらったものなんで、お二人にやり方を教えてもらって、    ここの庭の一角でわたしが育てることにした→30 24  やっぱり暗いし。明日にしよう。  明日はわたしは大学ないんだし。バイトも午後からだから、きっと見つけられるよね。  しくしく。  →31 25  わたしは謹んで真っ赤なバラを進呈した。 「ありがとうございます。  …ふふふ」  と、エリスさんはきれいな笑顔で笑った。  でもその笑いは(花に美男で映えてもいて?)なんかちょっぴり怖かった。  ……気のせいってことにしとこーかなー……  それはともかくわたしはおみやげのローズティーを手に、部屋に向かった。  窓には電気がついていた。チャイムを押すと、ユキがドアをあけてくれる。 「おかえりなさいアリス。  …ってあらあら、やけにうれしそうじゃない。なにかいいことあったの?」 「うん、実はね……」  →28 26  結局、挿し木にするからということで、茎の一部分だけお分けすることになった。 「すみませんね。  この株にはあなたのお名前をつけて、きっと綺麗に咲かせます。ですから、よければまたいらしてくださいね」  エリスさんはたおやかな手に茎を包んで、そう笑った。  →10 27 「あ、でもねでもね。あたしもみたのよー。魔導アカデミオン前の本屋で二人!  なんか色素の薄いカンジのひとと、あと、黒服に銀縁眼鏡でちょっぴりうさんくさそうなひと! でもあのひとは髪長くなかったし、たぶんアシェンデさんとは別人ね。薄い人はティルティスさんかも知れないわ。今にも消えるか倒れるかしそうなヒトだったもの」  ユキはさらにもりあがる。  ああ、あたしはそれより学生証が心配なんだよう。だって再発行にはお金かかるんだもん。写真も取り直すからいろいろで1000レルはかかるんだから! 3日お昼抜きに相当するのよっ。  ああ、もう……ユキののほほん娘っ!  →31 28  そんなこんなでその晩は無事に過ぎ…翌日のお昼。  →32 29  そう。このバラは確かに、ひとからもらったものだけど……  》》よく知らない人からのもの、持ってるのも何だったし→33    わたしより、この人達の方が、きっとこのバラによくしてくれるだろうし…→34 30 「このバラは、わたしが戴いたものなんです。  だから、ひとにあげちゃうのはできませんけど……  ここのお庭で育てれば。  お二人にお世話の仕方を教えてもらって、わたしも一緒に育てれば、バラはみんなのものになるから……  あ、ちょっとずうずうしいですよね」  だがティルティスさんは 「そんなことないよ。僕は賛成! エリス、いいよね」 「ええ。アリスさん、ぜひそうしてください!  きっとあなたのように美しい花が、たくさんたくさん咲くはずです」  諸手を挙げて賛成されてしまった。 「うれしいな。一緒にバラの世話できるひとが増えるなんて!  よろしく、エディアールさん」  色素も存在感も薄かったティルティスさんは、いまやお目目をきらきらさせて、すっかり元気にわたしの手を取る。 「………」  エリスさんはちょっとだけ複雑な目でティルティスさんをみる。  が、すぐに笑顔になってティルティスさんに続いた。つまり、わたしと握手を交わしたのだった。  →35 31  というわけで翌日の午前中、わたしがお屋敷にやってくると、その門にはこんな張り紙が。 『昨日、こちらで落とし物をされた方へ  落とし物はお預かりしております。どうかご安心ください。  本日午前中、家人は所用にて出払っております。  大変申し訳ございませんが、午後以降に今一度おたずねください』  うーん、しょうがないか。わたしはバイト先へ向かうことにした。  →32 32  バイト先についたわたしは制服に着替えてフロアに出た。  何をかくそう、わたしは大学にほどちかい喫茶店でウェイトレスをしているのだ。  このエプロンドレスふうの制服はかわいくてわたしも大好き。そんな制服がしっくりはまっちゃうようなお店の名前はずばり『トランプのお城』。  いつも通りに働いて、お昼食べて、また働いたらようやく定時。  次のシフトの子も無事入り、さて上がろうときびすを返すと、見計らったようにドアベルがちりりん☆と鳴る。  わたしはもちろん反射的、営業用(=かわいい系)スマイルで向き直り。 「いらっしゃいま………」  入って来たひとの姿にちょっとびっくりして言葉を失い。 「ああ、見つけた! お嬢ちゃん、君だ――」  思いっきり指さされて面食らい。 「…………せ」  とりあえず、ごあいさつを完結させた。 (わたしにとって)本日最後のお客様は、なんと昨日のバラ魔術師、アシェンデ・ラドクリフ氏だったのだ。 「店長! 頼む。彼女をしばらく貸してくれ。とても、大切な話なんだ」  彼はがばっとマスターに頭を下げる。  マスターは“どうするね?”とわたしをみる。 「あの、ラドクリフさん。わたし……」  もちろんわたしの答えは。  》》『これから上がりますから、そうしたらここでお話を伺います』→38    『あの、ちょっと忙しいんで……』→36    『これから立ち寄りがあるんです。明日じゃだめですか』→37 33 「そ、…そうですよね。  道で出会った見知らぬ女性にいきなり花を渡すなんて……  あいえ、カンですよカン。わたしにはスクライ(透視)の能力はありませんから」  エリスさんの言葉はなんとなくウソのような気がしたが、黙っておくことにした。 “マナ・バースト・エボリューション”が起きて100年。魔法、超能力、そういうものは充分な力を得、市民権をも得ているけれど。  透視やサイコメトリー、千里眼やテレパシー――“見えないものを見る”力って、やっぱりいやがる人がいて。そしてそれを気にする人もいて。  隠して使わないようにして、だれも傷つかないようにと生きる人もいるのだ。  魔法がつかえても、やっぱりひとは、ひとだから。 「ともかく、ありがとうございます」  でも渡されたバラを手に笑うエリスさんは、なんかちょっぴり怖かった。  うーん、花に美男で映えてるから、てコトにしとこっかな……それがいいや。   →35 34  それを言うとエリスさんは、はっとしたようにわたしを見つめた。 「どうしたのエリス?」 「ティルティス。…わたしは、思わずいろいろ反省してしまったのです。  あなたのほかに、こんなきれいな心の持ち主がいるなんて……。  わかりました。必ずや、このバラを幸せにしてみせます。  ……アリスさんとティルティスに、わたしがお約束します」  →35 35  無事かえってきた落とし物と、おみやげのローズティーとを手に、わたしは部屋に向かった。  窓には電気がついていた。チャイムを押すと、ユキがドアをあけてくれる。  幸いまだ外出着のまま。今日の晩ごはんはなんとか間に合いそうだ。 「ごめんユキ、落とし物しちゃって。いま作るからこれでゴメンして!」 「わぁ、ローズティー? いいわよ、ゴメンしちゃう!  でもどうしたのアリス? なんかやけにうれしそうよ」 「うん、実はね……」  →28 36 「待て。  お嬢ちゃん。オレがうさんくさいってコトは重々分かってる。  だが、大事な話なんだ。  …君をだましてどうこうしようってツモリは毛頭ない。  俺は、俺の恋人のことで、君に救けてもらいたい――君じゃなければ駄目なんだ。  ここでいい。好きなだけ立ち会い人をつけてもらっていい。  どうか話だけでも聞いてもらえないか」  急に真剣になった表情は、昨日とは別人のよう。 「アリスくん。  彼は本当のことを言っているよ」  と、マスターが言った。 「わしが立ち会い人になろう。話だけでも聞いておやり」  うーん、尊敬するマスターがそういうなら……  》》『わかりました。ここで話をお聞きします』→38    『今日は本当に落とし物を取りに行かなくちゃいけないんです…』→37 37 「…………。わかった。  明日までならきっと、大丈夫だ……  明日のこの時間、ここで、構わないか?」 「ええ。じゃあすみません!」 「いやすまなくはない。  ――頼んだぜ。君だけが頼りなんだ」  念を押すと彼はドアを出ていった。  わたしは私服に着替えると、昨日のお屋敷に向かった。  そう、わたしは預かってもらってた落とし物を、とりに行かなくちゃいけないのだ……  →◆◆アリス編パート2 1へ 38 「え、そなのか」  彼はちょっと気抜けした様子になる。  とりあえず速攻で着替えを済ませ、ウェイトレスから関係者に転身したわたしは彼の向かいの席に腰掛けた。  →◆◆アリス編パート2 2へ 

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