『ToB』資料館◆創世・歴史     

『ToB』資料館◆創世・歴史




いんでっくす
〜創世〜
誕生
〜古代〜
“凪”のそとへ〜精霊〜
〜中世〜
“凪”のそとへ〜封印〜
〜近世〜
滅びの足音
『メルクリウスの乱』
聖者エルシス

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誕生

世界の四隅には、『エレメンタルの泉』と呼ばれる場所がある。
そこからは、火・水・風・土のエレメンタルのチカラがふきだしている。

それぞれのエレメンタルのチカラは、ある程度の濃度に集まり、ある程度以下の速度になると、火・水・風・土や、それらのもつ明るさと熱・水分や液体・気体と冷気・土や固体を作り上げる。
よって、それぞれのエレメンタルの泉の近くは、プラズマの走る灼熱の世界だったり、深海だったり、暴風域だったり、ひたすら岩の壁だったりする。

もちろん、そんなところに人間は住めない。
人間がこの世界にいるのは、エレメンタルのチカラの“ある特徴”のおかげである。
“ある特徴”――エレメンタルのチカラは、逆の属性のものとぶつかると薄まる、というもの。
そのおかげで、各エレメンタルの泉の“真ん中”にある地域だけは、程よく暖かく明るく、適当な水分があって、空気が緩やかに流れて、歩くことのできる地面があり、それら全ての恵みを身の内に宿し、循環させる“生命”が生まれた。
“生命”がやがて、動植物となり、人間も生まれた。





“凪”の外へ〜精霊〜

生き物たちはしばらくの間は、“エレメンタルの凪”と呼ばれるその小さな地域のなかで、暮らしていた。
…と、いうより、“凪”のそとにはあまり居着かなかった。
そこにいるには暑すぎたり寒すぎたり――
極度の深海で水圧高かったり、岩ばかりで地形が峻険すぎたりして、そもそも立ち入ることができなかったり――
だったからだ。
しかし、エレメンタルバランスのとれた楽園では、生き物はどんどん増える。
増えれば、土地が必要になる。
土地はどんどん不足してゆき、やがて居住権争いが始まった。

争いに負けて追放されたものや、逆にみずから外へと活路を求めたものが、“凪”のそとで暮らしはじめた。
かれらのうち幾ばくかは過酷な土地で生き残り、その地域に応じた進化を遂げた。
彼らは“精霊族”となり、それぞれの系譜を紡いでいった。





“凪”のそとへ〜封印〜

“凪”からは幾ばくかの住人たちが去った。
それでも“凪”の中の争いは終わらなかった。
戦いは悲惨な様相を呈するようになる。
ここで“内地人”らは考えた――
『なら、“凪”を広げよう』
『我らの土地に、灼熱や洪水や、嵐や土砂を吹き寄せてくる恐ろしき“泉”を封印して』
一方で、“凪”の外へと追放された者らの一部はその恨みを忘れていなかった。
彼らはこう考えた――
『なら、“凪”を壊してしまえ』
『火や水や、風や土の恵みをもたらす“泉”を封印し、かれらの土地と生命を枯れさせてしまえ』

根底にあるものは違えど、“内”の民と“外”の民の意見は一致。
『エレメンタルの泉を封印しよう!』
かれらはいつわりの同盟を結んだ。
いわく、
『我らが祖の過ちを償いたい』
いわく、
『もう一度楽園に戻りたい』
――『同じ世界に住むものとして、分け隔てなくともに暮らしたい』
――『世界に平和と平等を、ひとびとがもっと愛し合える本当の楽園を!』

作戦の実行は困難を極めた。
しかしそれゆえに、内外の生き物の間には、真の絆が生まれていった。
もちろん、同盟の祝詞として声高に唱えられた美文を、当初より心の底から信じていたものもいたのだが。
とにかく彼らが協力し合うことで、エレメンタルの泉は封印された。
“凪”は、穏やかな楽園の土地は、世界じゅうに広がっていった。
“人”と“精霊”は、ともに新たな大地で栄えた。
人は技術を、精霊は魔術を互いにもたらし、ときに争い愛し合い、両者の血を引く者たちも数多く生まれた。





滅びの足音

人と精霊の輝かしい時は長くは続かなかった。
時代が下るにつれ、楽園の住人は衰えていった。
体力が落ち、魔法の効力が弱まり…
当初それは単なる平和ぼけと見られていたが、精霊たちの間にある奇病があらわれると、精霊たちの一部が、ある見解を主張しはじめた。
奇病――子供や年寄り等、弱いものたちが次々倒れて眠りにつき、肉体が徐々に縮んでゆき、ついには小さな宝石(シード)へと変わってしまう謎の病。
その原因は、世界じゅうのエレメンタルのチカラの不足のせいだと。
自らを構成するエレメンタルの枯渇により、精霊が自分を保てなくなるため、だと。
それにもとづきかれらは、エレメンタルの泉の封印を解きはなつことを主張した。
しかし人間たちの一部はそれにはげしく反発した。
精霊が、人間から土地を奪うための陰謀だと。
(封印を解けば、楽園の版図の多くは再び人の住めぬ土地となる…)
かつてのチカラをとりもどし、人間を支配下に置くためのでっちあげだと。
(封印を解けば、精霊はふたたび強力な魔法を手に入れる。人間にはとても、及びもつかぬほどのチカラを…)
そしてエレメンタルの泉の封印に、城を築き番人を置いた。





『メルクリウスの乱』

人間の一部が、エレメンタルの泉の封印を精霊の手から守るため、城を築き番人を置いた。
こともあろうにそのとき、実際築城と番人の任に付かされたのは、多くが“精霊使い”によって使役される精霊たちであった。
怒りを爆発させた精霊たちは、人間の同志と手を結び、武装蜂起した。
かれら――連合軍は封印維持派に対し、封印と使役精霊の解放を要求。
対し維持派が鎮圧のための兵を差し向け、戦いは始まった。

最初の主戦場は、水の封印のある区域。
そこでは“水霊司”エリクシアスと彼に従う水精霊“消え行く海霧”エリエーシュが鬼神の働きを見せ、連合軍は封印に王手をかける。
しかし――
封印の地での最終決戦をまえに、エリエーシュは姿を消す。
決戦開始時、エリクシアスは維持派に寝返っていた。
主戦力を失い、あるいは奪われ連合軍は敗走。
しかし維持派も甚大な被害を受け、エリクシアスも連合軍の攻撃を受けて海に落ち、消息を絶つ。
両者がほぼ壊滅状態に陥ったことにより、戦いは鎮火した。
これを、主戦場となった水の封印の地の名から『メルクリウスの乱』とよぶ。

『メルクリウスの乱』のあとにはまた平和が続いた。これは(後に残された、穏健派たちの工作もあるが)世の大半の住民には、これは単なる一部の過激派たちの武力衝突とみなされていたためである。
人間と精霊は、自らに力を与える新たな技術と、奇病への対策を模索しながら時を過ごす。
そのさいに、シードの“魔宝石”としての使用法も確立され、人間は便利なマジックアイテムとしてシードを利用するようになっていった。





聖者エルシス

『メルクリウスの乱』のすこし後、シードについてある事実が明らかになる。
シードは、基本的に“無害かつ有用な魔宝石”と思われていた。
しかし実は、その装着利用には副作用があったのだ。

人間がシードを身体に埋め込み使えば、精霊と同じように自在に魔法を操れるようになる。
しかし同時に、精霊と同じように精霊使役術の影響を受けるようにもなってしまう。
(精霊使役術はかなり難易度の高い術なので、実際にこれをかけられるハメになる危険は小さいが…。)
なおかつ、他者の記憶や感情のようなものがシード装着者の夢の中や、日常の意識にまで流れ込むことがあり、ひどい場合には錯乱してしまう。

苦しむ被害者たちを救ったのは、『シード分離術』。
そしてそれを操る、ひとりの錬金術師だった。

エルシスと名乗る美しい青年は、こう説きながら世界を回り、被害者たちを救っていった。
『悲しみのうちに死んだ精霊の涙が、ひとを泣かせないわけなどない』
『シードは精霊の涙にして魂。弔って、大地に返してあげなければ』
その言葉に違わず、彼は被害者から取り出したシードをけして私することなく、とある河のほとりに建つ、小さなほこらに全てまつった。

やがて彼は聖者として崇められるようになり、その言葉は多くの人々を動かすようになる。
賛同者たちの手により正式な神殿が建立され、シードはゆっくりと、しかし着々と、集められ、祭られていった。

しかし神殿の落成からしばらくたって、エルシスは忽然と姿を消した。
彼は天使だったのだ、と多くの者が噂しあった。
神殿は、天使の志をついだ巫女と神官に守られ、あるじの再臨を待つようになった。





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