『バスの揺れ方で人生の意味がわかった日曜日』





ん?あれは…

「お、下りますっ!」

って言ったら運転手さんに睨まれた。


プシューッと獣の鼻息みたいな音でドアが開く。
一気に道路まで飛び下りて左を向いた。
そこにいたのは…

「桜乃ちゃんっ!」
「千石さん!?」





運命の人





やっぱりね。
バスが縦揺れだったから。
今日はラッキーだと思ったんだ。

「いやー、マジ偶然だね!俺ってラッキー!!」
「そうですね。千石さん、バス下りても良かったんですか?」
「全然オッケー!」

後で南ちゃんにメール打っとこ。
千石清純はラッキーの為、行けなくなりました。
頑張って敵情視察しといてね、って。

「桜乃ちゃんはお買い物?」
「はい!おばあちゃんに頼まれてお花の苗を買いに行くんです」



お花は君だよ、桜乃ちゃん。



って言いたくなってしまった。
それ程、笑顔の桜乃ちゃんは激可愛い。

「じゃあ、俺がついてってあげるよ!」
「え?」



赤ずきんちゃんのオオカミになったような気がするのは

なぜ?



「俺、お花大好き!」
「そうなんですか?」



桜乃ちゃんってお花だけどね。



「うん!だから一緒に行く!いい?」
「いいですよ」
「やった!」

何気なく、さりげなく。
桜乃ちゃんの手を握った。
すると完熟トマトのようになりました。





『でもさ、君は運命の人だから強く手を握るよ』





「おばあちゃんになんのお花を頼まれたの?」
「桜乃ちゃんの好きなお花を買っておいで、って言われました」
「桜乃ちゃんの好きなお花は何?」
「そうですね…」

しばし考え込む。

「小さくて可愛らしいお花です。千石さんは?」
「俺はね、桜乃ちゃんってお花が好きなんだよ」
「私の鼻…ですか?」

きょとんとして自分の鼻を指差す。

うん、桜乃ちゃんのならどこだって好きなんだけどね。
可愛いボケに座布団10枚あげたいトコだけど…。
違うんだな、桜乃ちゃん。





『余計なコトはしすぎる程いいよ』





屈んで目線を合わせる。
少し空気を吸い込んで言ってみた。

「あのね、俺は桜乃ちゃんが好きなんだ」







「え?」







そりゃないよ。
結構勇気いったんだよ、今の。








「本気だよ」
「せ、千石さん?」
「う〜ん好きだから一緒にいたいんだけどな」

完熟トマトがケチャップになっちゃいそう。
俺の言葉が本気だってわかってくれたのかな。







「…私も千石さんと一緒にいたいです」








およ?



それって…

もしかして…





『扉開けたら』





「きゃっ!?」

桜乃ちゃんを抱えて走る。

「千石さん!?」





『走る、遥かこの惑星の果てまで』





「あのね!桜乃ちゃん!」
「はい?」

俺の尋ねた声が揺れる。
桜乃ちゃんの答えた声も揺れる。

「時間まだある?」
「えっと、あんまりないです」
「そりゃちょいとアン・ラッキーだね」





『悪アガキでも呼吸しながら君を乗せていく』





このくらいでいいかな?

「よっこらせと…」

肩に担いだ桜乃ちゃんを地上に下ろす。

「…あの」

不思議そうな顔。

そりゃそうだ。
いきなり担がれて。
時間ないってのに連れてかれて。



でもね…



「…こうしたかったんだよ」

むぎゅっと桜乃ちゃんを抱き締めた。

「桜乃ちゃん絶対人前でするのヤでしょ?」





『アイ・ニーヂュー、敢えて無料のユートピアも』





「…それでわざわざ?」
「そ!俺が抑えれたら問題なかったんだけど…」






もう抑えられそうになかったから…。





『汚れた靴で通り過ぎるのさ、自力で見付けよう』






ユートピアなんて自分で作るよ。

こうして抱き締めてるだけで。
鼻と鼻付き合わせて。
唇重ねているだけで。


どこにいても幸せ。





『神様』










桜乃ちゃんにもう1回ちゅうしようとした瞬間。




ピロリロリロリ〜




メールの着信音が鳴った。

「千石さん、大切な用事じゃ…」
「いいのいいの。桜乃ちゃんのが大切」
「でも…」



そんな目で見ないで。



しぶしぶ携帯をチェックした。








”ラッキーな事って?”







南ちゃん、後でボコる。






なんだったんですか?って。
桜乃ちゃんがきく前に。

ちゅうをした。









『神様』






☆★☆

キヨさんの気持ちになって書いてみました。
したらば、ただのチャラ男になってしまいました。
もしくはただのお調子モン。
なんでかドラマでBGMが流れてるみたいになりました。
スピッツの『運命の人』はのど自慢風にはしょってみました。
1番が長すぎて思い付かなかったよ、とは言えないけど言っちゃう。。
自分の頭を呪います。